テキストサイズ

不倫研究サークル

第7章 小梢の過去

「小梢……、これって?」

「土門華子さんの遺書よ」

「どうして彼女が君あてに遺書を書いたの? 彼女は本当に死んだの?」

僕の問いかけに、小梢はブルブルと唇を震わせた。

何度か深呼吸をすると、一瞬、口を真一文字にした後に衝撃的な事を口にした。

「彼女は死んだわ」


「私が殺したの」

「?」


「ごめん、何を言っているのか分からない」

「殺した相手に遺書なんて書く? 内容からして自殺じゃないの?」

「ねえ、何があったの?」

僕は、思わず中腰になり、小梢の肩を掴んで揺さぶった。

小梢の艶やか黒髪が揺れた。

「土門さんだけじゃない」

「?」

「わたし、もう一人殺しているの」

僕は混乱した。小梢の言っていることが全く理解できない。小梢から手を離すと、腰が抜けたように尻もちをついて、ヘナヘナとその場に座り込んでしまった。

小梢は相変わらず正座したままだった。

そして、ポツリ、ポツリと昔なにがあったのかを話し始めた。

とても辛そうに……。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ