悪魔から愛されて
第1章 不思議な出会い
ミーティングが終わると、京子はさっそく動き出した…
私の手を引いて龍崎部長に挨拶に向かった…
「龍崎部長お時間よろしいでしょうか…。私は営業部第2グループの西条京子と申します。よろしくお願い致します。」
可愛い表情は京子の得意技だ。
私は京子に肘で挨拶を促され…
「あ…あ…あの…私も第2グループの鈴木恵美です…」
私は恥ずかしくて顔をよく見ることができなかったが、龍崎部長は私達に微笑みながら握手の右手を差し出した。
「西条さん、鈴木さん、よろしくね」
京子が先に握手をしたので、私はそっと顔を見上げた…
龍崎部長の顔…
…っえ…
…時間が止まった…
…まさか…
…この顔見たことある…
…そうだ!…
…夢に出てくる悪魔そっくり…
体が凍り付くように固まった…
固まった私は、袖を京子にひっぱられ、現実に引き戻された…
龍崎部長との挨拶が終わり、自席に戻ると京子が怒り顔で寄って来た…
「やだぁ恵美…なに固まってるのよ…龍崎部長の手を握ったまま離さないんだもん…部長も困った顔してたよ…でも…恵美が気になるみたいで、あのあとずっと恵美を見てたよ…もう…ずるいよ…」
京子は笑いながら言ったが、目は本気で怒っていた…
「京子ごめんね…緊張しちゃって…きっとへんな奴って思われたね…私…」
「たとえ恵美でも許さないからね…龍崎部長は私が狙ってるんだからね!」
京子は不機嫌そうに戻っていった…
京子に本当のこと言っても…
信じてもらえないよね…
それに…
偶然かもしれないし…
そう、ただ似ているだけかも…
私は自分に言い聞かせるように呟いた…