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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第2章 担任、井田春斗のクラス

3

言われた通り、生活記録ノートを持って、昼休みに保健室に向かった。
今日は、昼食を持ってきていない。
いつもは適当に昼食になりそうなものを家の台所から持ってくるが、今日は何も無かった。
朝から何も食べていないお腹がぐーぐーと存在を示す。制服のポケットから、飴玉を1粒取り出して、教室から保健室に行くまでになめていた。
気休めだけれど、これで飢えをしのぐ。

途中、1年生のときにクラスが一緒だった子と会ったり、委員会で一緒だった子がわたしに声をかけてくれたりした。

「お昼食べないの?」

気遣いが胸にチクリと刺さる。

「先生から呼び出し〜!終わったら食べようかなって!!」

本当はお昼なんて持ってきていない。小さな罪悪感に、また、チクリ。

「うわぁ、昼休みなのに!! 頑張って〜!」

「ありがと!」

できるだけ、嘘をつかなくてもいいように。
なるべく早く、友だちに会わないようにしながら、保健室へと急いだ。

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