優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第2章 担任、井田春斗のクラス
保健室のドアをノックして開けると、いつもは養護の先生が座っている椅子に、井田先生が座っていた。前の時間は理科の実験で白衣を着て、そのままだったからか、井田先生は本物の医者に見えた。
でも、その医者は机でおにぎりをかじっている。
「ん……早くない?もう飯食ったの?」
食べていたおにぎりをペットボトルのお茶で飲み下しながら、井田先生は笑った。
その、純粋な笑顔に、わたしの気も緩んでしまう。
「お弁当……忘れたので」
適当な嘘をひとつ、ついてしまった。
でも、後で食べる、よりは軽い嘘。
井田先生は、わたしのその表情を見逃さない。一瞬だけ、鋭い視線を感じたが、直ぐにまたいつもの柔らかい雰囲気に戻っていた。
でも、その医者は机でおにぎりをかじっている。
「ん……早くない?もう飯食ったの?」
食べていたおにぎりをペットボトルのお茶で飲み下しながら、井田先生は笑った。
その、純粋な笑顔に、わたしの気も緩んでしまう。
「お弁当……忘れたので」
適当な嘘をひとつ、ついてしまった。
でも、後で食べる、よりは軽い嘘。
井田先生は、わたしのその表情を見逃さない。一瞬だけ、鋭い視線を感じたが、直ぐにまたいつもの柔らかい雰囲気に戻っていた。