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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第7章 隠しきれないもの

診察室で出迎えた早乙女先生は、春ちゃんが言うような先生ではなかった。

「あ! 澤北、久しぶりだね!! 井田はもっと久しぶり!元気そうでなにより!」

優や春ちゃんより、少し歳上の女医さんだった。
その明るくて、快活な話し方に『騙された……!!』と思った。
怒りを込めた目で春ちゃんを見ると、春ちゃんは苦笑いをしながら、口の形だけで『ごめん』と言ってくる。

「ご無沙汰して、すみません」

「お久しぶりです」

優と春ちゃんがぺこりと挨拶をする。
どうやら、やっぱり、2人の先輩のようだった。
そうしてその後に、早乙女先生は、わたしの顔を覗き込んだ。

「あなたが、白河咲ちゃんね…… 初めまして」

早乙女先生は、わたしに優しく話しかけながら微笑む。わたしはまだなお、春ちゃんの嘘にむくれて、俯いていた。

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