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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第7章 隠しきれないもの

「どうする? 機械を使うのは、ここでしかやれないから、ここでやるとして、あとの1回はあんた達いれば家でもできるよ。通院するか、家でするか」

治療は、家でもできるらしい。
わたしは昨日のことを思い出して、優の横顔を見つめた。不安になる。もう、家で先生になっちゃう優を見たくなかった。
優は、わたしのその表情を見ずとも、早乙女先生の問いに即答していた。

「できれば、病院で」

『いえで、せんせ、に、ならないで……』

泣きながらわたしが2人に訴えたことを、思い出しているのが分かった。
わたしの帰る場所を、できるだけ守ろうとしてくれている。

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