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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第7章 隠しきれないもの

「咲がまだ、精神的には安定してるとは言えない。時々、眠れなくてこの部屋に来る。トラウマを抱えてるのは見ればわかる。本当のこと告げて、記憶を刺激したらと思うと……心配なんだ」

仰向けになっていた俺は、春斗に背を向けるように寝返りを打つ。

違う。

心のどこかで、俺が、俺に向けて、声を上げる。
春斗に背中を向けたのは、春斗から本当のことを突きつけられるのが怖かったからだ。

母親を憎む咲。咲が、俺との本当の関係について知ったら……咲は、俺を軽蔑するだろうか。

早く、早く眠りにつけるように、目を瞑る。

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