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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第2章 担任、井田春斗のクラス

「生理は……去年の秋に初めて来て、半年くらい、来てないです」

「そっか。体はつらくない?」

優しく訊かれて、小さく頷いた。

「ちょっと目の下見せてくれる?」

そう言って、先生はわたしの頬を両手で包むように触った。
触れられる時は、殴られる時。
そんなイメージが先行してしまい、ぎゅっと目を閉じる。

「大丈夫、怖いことはしないから、目を開けて」

いっそう顔が近くなった先生が、わたしにそう言った。ゆっくりと力を抜いて、目を開けたとき、井田先生はにっこりと笑った。

「そう、上手」

井田先生はそのまま、下瞼を少しだけ引っ張って確認すると、手を離す。
手を離されてから、井田先生の手が温かかったことに気づいた。

「白河さん、次の生理が来たら、貧血になって倒れちゃうかもしれない。下瞼の色、あんまり良くないんだ」

「……病気?」

「ううん、よくあること。でも放置するとつらいから。まずはしっかりご飯を食べること、できるかな?」

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