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となりのにぃに

第18章 卒業、そして入学

敬人が突然穏やかに微笑みながら言った。



「え? なに…?」


「ちょっと後ろ向いてくれる?」





敬人とは隣の椅子に座っていたので、ゆっくりと体の向きを変える。




「ねえ、なに?」



「じっとしてて…」





敬人の大きな手が後ろから私の首元へ近づいて、首筋にヒヤッとした感触がした。






「卒業おめでとう。それお祝い。もうこっち向いていいよ」



体の向きを戻すと




「まぁ、みりかよかったじゃない! 似合ってるわ!」





ママが渡してくれた手鏡を見てみると、首元には小さなハートにオレンジの石がはめてある、シルバーのネックレスがついていた。





「敬人、これ…」




慌てて敬人に向き直って尋ねた。状況がつかめずちょっとパニックだった。




「卒業祝い。オレンジの石は、みりかに1番似合う色だからそれにしたんだ。 それに、今日のワンピースにもよく似合ってる」




穏やかであたたかい笑顔でそう言った敬人。だからワンピースの感想、さっき言わなかったんだ…




「気に入ってくれた?」


「すごく嬉しい… 本当にありがとう…」





本当に嬉しくて、その場で泣いてしまった。もう中学生になるのに。




泣き止んだ頃にはすっかり冷めてしまったハンバーグも、とてもいい思い出になると思う。




卒業おめでとう、私…

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