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天空のアルカディア

第2章 2人の出会い

ウォール神殿近辺の森


ーーーおかしいーーー


ライは、大人のヒト並の体格をした犬、ウルフの群れに囲まれていた


目標は3M程の赤い怪鳥、バハネット1体のはずだった


神殿は魔物の生息地域からかなり離れている為、そうそう魔物が現れる筈がない


現れたとしても翼をもつ魔物ぐらいだ


生息地域から神殿までにはいくつかの集落や街がある


それらが魔物に襲われたという話は聞いていない


という事はここまでの集落や街を無視し、ここへ来た事になる


ーーー何故?ーーー





マリアの一行は神殿付近の森で足止めされていた


突然現れた数十というウルフの大群に囲まれ、騎士団が応戦していたのだ


ウルフは弱い部類に入るが、精鋭の近衛騎士団とはいえ、相手は魔物。加え自分たちとほぼ同数の群れ


騎士達は剣や槍でウルフを駆逐していくが、1人、また1人と倒れていく


あるものは喉を食いちぎられ
あるものは数匹に飛びかかられ


魔物は死ねば灰となる


ウルフの数はもう数匹だが、地面に伏しているのはヒトばかり


マリアの馬車を4人の魔導師が囲み結界を張っていたものの彼女は震えていた


戦いは見なかった
見ることが出来なかった


初めてみる魔物
初めてみるヒトの死


恐怖に苛まれ、マリアには震える事しかできなかった





「104名中47名か…」


最後の一匹を倒し、騎士団長は死傷者の確認をしていた


殉職者47名
重軽傷者32名


不意打ちとはいえ、あまりに多い死傷者を確認し、自分の能力のなさを呪った


空を仰ぎ見たのは散っていった同胞を見送るつもりだったから


「なっ!?」


しかし、見えたのは赤い羽毛を生やした鳥、バハネット


ウルフ十匹でランクはD


本当の悪夢はこれからだった


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