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天空のアルカディア

第2章 2人の出会い

ザンッ


最後のウルフが剣に切り裂かれ、灰と化す


ライは疑問を頭にかかえ、剣を納めた


「最後までかかってくるとは…な」


黒に近い藍のマントには汚れや破れた箇所はない。それだけ圧倒的だったのだ


魔物とて生物


適わない敵に最後まで挑む事はない


予測、予定外の出来事に考え込む、が


ドオォォン


大地が震えたと同時に微かに熱い風が吹いた


「ーーーッ!!」


考えるより先に爆音の元へ疾走した





それは突然だった


地に大きな影ができ、怪我人を手当て、殉職者を手厚く葬っていた騎士達が炎に包まれた


マリアは無意識に手を口に当てて驚愕した


砂煙が消え、騎士達の姿を探すが、どこにもいない


炎によって焼かれ、黒くなった大地に炭のような塊があるだけ


マリアの回りにいた4人の魔導師と侍女のみを残し、全滅だった

侍女は馬車の中でマリアを抱き込み、魔導師の2人は詠唱を始め、残り2人は結界を貼りながら空を仰ぎ見た


赤い羽毛、太く鋭いクチバシ、頭はヒト程はあろうことかという大きさ、青く丸い目はヒトの頭サイズ


耳障りな羽音をたて、地に降り立つのはバハネット


魔導師達もそれなりに魔物の知識はある


バハネット
体長3M程の体躯、赤い羽毛、空を飛び火を吹く怪鳥


しかし目の前のバハネットは森のどの木を軽く越している
目測で10Mはある


『ファイヤー!!』


2人の叫びと同時に2つの火炎球が怪鳥を襲う


〔キェェアァァァ!!〕
怪鳥の咆哮と同時に翼が羽ばたき、強力な突風を巻き起こす


ドドン!!


火炎球は突風に逸らされ地面を焼いた


新たに詠唱を始める魔導師2人


しかし、怪鳥がそれを待つ筈がない


首を仰け反らせ2つの火球を吹く


魔導師達の火炎球の何倍もの大きさ


1人は恐怖で固まり、もう1人は詠唱を中断し別の詠唱を始める、が


「ああぁぁぁぁ!!」
「ぎゃぁぁぁ!!」


2人が炎に包まれ、のたうち回り、しばらくして〔パチ…バチ〕という物が焼ける微かな音だけ響いた


ギョロリ


怪鳥が結界を張っている2人の魔導師と馬車を睨みつけた瞬間、結界がとけた


魔法は精神に左右される


折れた心では結界は消える


怪鳥は首を仰け反らせる


「ライトフィールドッ!!」


光が彼らを覆った

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