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NOMAD メガロボクス2

第3章 バシッ

店の中を見ると20代から70代ぐらいの客層でにぎわってる。ドヤ顔でダミ声をあげながらそれぞれの水割りやビールなどの好きな酒をあおりながら連れの男らと時おりワハハハ!と大声で話してる。



パーティー会場などでお酒の飲める所は行ったしシャンパンなどは飲んだことあるが。少女の住む認可地区ではもの静かに飲むのがマナーなので雰囲気がまるきり変わることに面くらう。



(…来なれてなさそうだなあ…)



とマスターは思うが



「こちらへどうぞ」



と少女にカウンター席に座るようにすすめた。あわてて腰かけると



「なんにします?」



と見かねたらしく声をかけてくれた。少女はいろいろ考えたがさすがに慣れない店では酒を飲む気にはならずコーヒーを頼んだ。すぐに飲み物を出されて



(他のお客たちみたいに話したほうがいいのかな……)



とも思ったがにも初めてのバーでは誰も顔見知りがいない。



(なんにも決めてないしどうしよう…)



と思ってたらギターの音と共に大きな歌声が後ろから聞こえてきた。



びくっとしてしまい店内を見るとガヤガヤとはしゃいでた飲み客たちもシーンと静まってる。



約190㎝の身長で体重は90㎏ぐらいだろうか。なんだかおおざっぱそうな男が背もたれのない木製のベージュの椅子に座ってる。



とくに歌はうまくはない。ただギターはそこそこ得意らしくなめらかな音色を器用に奏でてる。



革製ポンチョにも似たまっ白いマントを身にまとい、インナーに白いTシャツを着てる。顔はベージュのホライズンハットを目深にかぶり下を向いてるのでわかりにくい。



一瞬インディオにも思えたがどうもちがうようだ。浅黒い肌で幅を狭めに揃えた口ヒゲと顔まわりに輪郭を描くような細長いヒゲが時おりのぞける。やりきれなさを歌にしてて終わるとギターをボロ-ンと鳴らした。少女にとってはそういう印象のする男だった。



隣のお客に聞いたら今夜のメガロボクスに出場するボクサーだそうだ。テレビや雑誌でしか見たことのない試合というものに興味がわいてどんな競技なのかや闘技場への行き方を教えてもらう。



会計をすませて店を出るとさっきのマッチョが道路を歩いてる。どうやらそろそろ闘技場へ行くようだ。


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