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NOMAD メガロボクス2

第4章 ガシッ

「じゃあどっか泊まるか電車があるだろ」



(ホテルにネカフェや友人の家とかあるだろ)



とチーフは思うが少女は1人っ子だった。というかはじめて来た街で友人などいるはずもないし。



「……泊まれないし電車に慣れてない…」



と言ったきり口ごもる。電車やバスはとっくに終わってる時間だ。ネカフェはバーの近くで見かけたが入店してカウンターで手続きする際に



(…利用できるかな)



といつものカードを提示したら



「このカードはうちの店ではお使いになれません」



と断られてしまった。使える機関やブランド名も違えばカードの見た目も店員がいつも扱ってるものとはまったくの別物だしで



(認可地区のヤツらの使うカードじゃんか。こんなのあんなら一流ホテルのほうが快適だしメシだってうまいの食えるだろーが)



…こんなふうに思われたことだろう。こんなことでまさか困るとは少女も思わなかったにちがいない。



認可地区内ならどこのホテルも手持ちのカードで泊まれる手続きができるのだが今回はみごとに失敗した。これからどうするかなんてまったく検討もつかない。



「ふーんならタクシーは?」



赤の他人にいきなり声をかけたのは少女自身だ。間違いなく無謀以外の何者でもないが。



「……使いたくない…」



言いたくないけど返事ぐらいはとしぶしぶ言葉が出た。チーフに会ったからといってそのあとどうするかまではなんにも考えてなかった。

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