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少女の両親は金持ち同志の縁談をもちかけられて結婚した。なのでお互いに恋愛感情はまったくないし、子どもを産みさえすればでかしたと親におだてられる。


その証拠というか両親は子どもの世話がまるきりできない。だから使用人たちが育児をまかされる。おまけに1人娘だというのに教育は執事や学校に丸投げなのだ。



あとはﾊﾟｰﾃｨｰや会合などで年に一度か二度会えたら軽いあいさつをすませてあとはお互いに好きな相手とすごしてよい。別居先もわかりきってるのでよっぽどのﾄﾗﾌﾞﾙがない限りは干渉もしない。ただし再婚と隠し子は許されないが。



そんな家族としての自覚も薄い環境に育った一人っ子の少女が偶然見かけた気安いｵﾔｼﾞにひかれるのも無理ないのかもしれなかった。


ｽﾗｯとやせてて背が高く、今どきなﾌｧｯｼｮﾝが似合う若い男もじゅうぶんに魅力的なｲｹﾒﾝなのだろう。だが日焼けした浅黒い顔で愛嬌のあるｾﾘﾌを気軽に言えることももしかしたら女や観客に好かれる理由の1つなのかもしれない。



少女がﾁｰﾌに会ってみたいと思うのも親しみやすさからくるのかもだが。実際の目の前の浅黒ｵﾔｼﾞはさんざん足元を見てくれるいやみなﾔﾂだ。



試合をこなしたﾎﾞｸｻｰだからこそﾁｰﾌがｶｯｺよく思えたのかもしれない。ﾊﾞｰやｽﾃｰｼﾞで歌ってるときはどんな男でもそれなりにｲｹて見える場合が多いようだし。ただ相手への熱がさめたら



(あれっ?この人こんなやぼったかったっけ……)



それまで夢中になりすぎてのぼせきってたせいか魅力を感じなくなるｹｰｽが多いようだが。