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NOMAD メガロボクス2

第4章 ガシッ

いくらなんでも数時間前に見かけただけのヤツの車に乗るかはさすがに迷う。



(どうしよ…)



と思うがなかなか決めかねる。



「どうした」



とチーフが乗るかどうか確かめてくる。



(ついてこうかな…)



そう考えてチーフの車のドアを開けて座席に座った。チーフも運転席に座ろうとしたとたんに男の大声が聞こえてきた。



「おいっ待てよ!」



声の主は対戦相手だったジョーだ。男の剣幕に少女も思わず車のドアをあけて外に出てしまった。2人の男に釘づけになる。



「イカサマなんかしやがって!」


ジョーはさらにまくしたてる。チーフはあれか?と気づいて


「あのぐらい盛り上げるには仕方ないだろ」



と言うがジョーはおさまらない。



「あんなので勝たされたくねえよ!」



とまくしたてる。ジョーはチーフを殴りにかかるがかわされたのがさらに怒りをあおったろう。



(ぜってーあのデカブツシメるっ!)



とのりこんだのがみごとに空振りしたのだ。チーフにしてもききわけのないガキにムカついたろう。



観客は賭けたボクサーが勝てば金がもうかるが負ければ大損する。だから



「お前のせいで損した」



とさんざんののしられる。そんな恥をさらしたことにもムカついてくる。



わきを締めて右ストレートをジョーの顔にお見舞いすると当たった衝撃でほおの皮膚が揺れて波うつ。



ジョーにしてもくらった憤りがパンチにのる。チーフのボディを狙いにかかり腹に命中させると



「うっ…」



とこんどはチーフがうめく。


両者とも少し距離をとるとどちらともなく殴りあいが始まる。やがてジョーが地面にくずれ落ちた。



「さっきのパンチくらってたのはオレだったかもな」



どちらが勝つのかわからない試合を繰り返してるからこそのセリフだろう。そうはきすてると少女に



「おい、行くぞ」



と呼ぶが彼女の目は倒れたジョーをとらえて離さない。


「おいっ!」



(来ねえのかよ!?)



とでも言いたげな呼びかけだが。少女はチーフには応じずにジョーのそばに行ってしまった。



よっぽど心配してるらしく男を気にかけたまま地面にペタッと座りこんでいっこうに動かない。



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