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NOMAD メガロボクス2

第4章 ガシッ

「勝手にしろ!」



そう言い捨てるとチーフはピンクの愛車にすばやく乗るとバン!とドアを閉めてキュキュッ!!と大きく急ターンして駐車場をあとにした。



(あの人怒っちゃった…でも……)



だが少女は自分でもどうにもならなくて涙が出てしまった。もう取り返しはつかないが。コートの袖で涙をぬぐうとジョーと目が合う。


「……なんだよ」



と聞いてくるが少女にはなんにも答えられない。ジョーにしてもばつが悪いにちがいない。勝たされたとチーフにたてついたあげくにのされたのだから。



「いいのかよ、行っちまったぜ」



バツが悪そうにジョーが聞く。少女をチーフの女か身内だと思ってるようだ。



「……………」




だが少女はなんにもジョーにこたえられないままだ。



まだチーフに殴られた痛みが残ってるにちがいない。ジョーは自分のバイクに向かってフラフラと歩いてく。



「メガロボクサーやめたらほかにできることや、やりたいことあるのか?」



ボクサーだけでなく生きてればみんな似たような話題を一度は話しただろう。少女は雑誌や番組などで減量や必殺技を会得するための苦労や実力はあっても上位にはいあがれなかったボクサーの無念さなどを読んだことがある。



少女はボクサーじゃないけどクレジットカードや現金にしろ親にわたされたものだ。仕事や努力をしたりして手に入れたのではない。



だけどジョーやチーフなどのボクサーにしろ未認可地区の住民はたぶんだけど自分で稼いだ金で生活してる。それは少女にはまだ考えにくいことだ。だから2人がすごいとも思える。



そこにどこかで共通点を感じたのかもしれない。そんなことをぼんやり思った。


(試合でもあれだけ殴りあったのに。2人ともケガはいいのかなあ……)



生まれてはじめて闘技場まで足を運び間近で試合を見たのでトーシロー丸だしに少女は思うが。

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