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NOMAD メガロボクス2

第7章 バキッ

そんなマンガを小学生のレイは読んでみた。インパクトはじゅうぶんだった。



それでもテレビやネットで見慣れてきた試合の光景だが。このときはたった15才のガキにとっては衝撃的だった。薄暗い会場でリングだけが白いライトで照らされる状況が。



ファンにとってはありふれた試合でもセコンドが選手に勝たせたくて必死にアドバイスしてる。



しかも上半身はすっ裸でギラギラした競技用パンツと足には白い革のブーツ、手には黒い革グラブといったいでたちだ。



両選手が紹介されて試合の開始をつげるゴングが鳴らされ2人のボクサーが激しくパンチをぶつけあう。



レイの通う女子高では



「センスよくないと認めたくない」



というような価値観が学年の大半をしめるような環境である。だからかもしれない。



(なんかスゴーイっ!)



…と思えた。打撃があたるたびに両者の汗が飛び散る、レフェリーの判断しだいでは中断して付き人がうがいや手当てを行う。



それがすむと試合再開だ。やがてどちらかの選手がマットに沈むとレフェリーが勝者の片腕を高くもちあげて観客の歓声がなりやまない。勝ったほうの関係者も涙ぐみながら喜んでる。



一人前に育てるために会長やトレーナーも苦労したはず。だからここで晴れて報われたからこそうれしいのだろう。



ある試合では判定負けしたボクサーが相手のボクサーに勢いあまってしがみついた。



お互いプロになるまでにやせ我慢だらけだったろう。だからか



(まだやれんのに止められたくない…!)



と言いたげに勝者に腕を大きく振りながらもがいてた。だが勝者もいつ判定で負けになるかわからない。なかにはレフェリーが主催者の言いなりになってるケースもあるのだ。



(気持ちはわかるがこらえろ…!)



まるで仲間をなだめるかのように勝者が敗者の両肩をおさえてた。そんな光景を中継で見たことがある。それもファンをひきつける魅力なのかもしれない。



使う道具などはまるきりちがうがレイもカーラといっしょに執事のシャオに剣術を習ってる。だからボクシングだけでなく格闘技にわりと興味があるし共感できるのかもと思った。



'まだチーフやジョーに会う数ヶ月前のレイ'



fin'


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