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NOMAD メガロボクス2

第7章 バキッ

「だけどミラの病気がわかってね…」



カルロがまだ7才のころのことだとマーラは言う。



「もちろんチーフも妻の病気を治したくてがんばってた」


だが移民の立場では思うように治療費も捻出できなかったし生活も厳しかったろう。マーラはさらに



「ついにミラは亡くなった…お次はカルロの病気までがわかって…」



カルロの心痛ははかりしれない。ただでさえ母親をなくしたうえに自分の病気までがふりかかったのだから。


「だからチーフはカルロをはげます意味もあって一緒にギアを考えて作り出した…」



母をなくしたカルロのためにも心強くたくましい父親でありたい、そう思ってほしくてメガロボクサーとして必死だったチーフ。だが現実はイカサマボクサーとしての道しか与えられなかった。



ついには数年後にカルロまで亡くなった。



「だからかな、チーフは酒におぼれてメガロボクスで殴られまくった…」



まるで自分のふがいなさを罰するようだとマーラはつぶやく。夫として父親としてさえも役だてなかった情けないヤツ。そうチーフは痛感しまくったにちがいない。


(………)



「かといってギアをはずしたらわが子カルロとの思い出を感じられなくなる。たぶん…」



「もしもメガロボクスを続けられなくなったらチーフはさらに気をおとしそうなんだ……」



ともマーラはジョーにうちあけた。



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