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零の大臣

第2章 邪悪の再来

とあるホテルの一室
伊達は昨日政府が用意したホテルで一夜を明かした。今後の予定については追って連絡するとの事だった。

「………税金の無駄遣いだな」
部屋の中を見渡してそんな皮肉を呟いてみる。昨日緋山に呼び出されそのまま再び大臣となる事を強いられた伊達。しかし昨日の出来事で伊達は3年前に比べ自身が弱くなっていると感じていた。

「まさか彩陽と敦を人質にされただけであそこまで動揺するとは………」
3年前では決してありえないと心の中で呟く
それほどまで2人と過ごした学生生活が楽しいものだったということであり通常であれば微笑ましい事この上ないのだが大臣となると話は別だ。
日本政府最高戦力である大臣の使命は『国防』でありそのためならば如何なる行為も許されるというとんでもない特権を与えられている。それ故にクーデターなどが起これば戦線へと駆り出され敵の殲滅を任される、3年前に第一位大臣として当時の大臣達を束ねていた伊達はその使命を冷静かつ完璧にこなしていた。しかし………

「昨日はっきりとわかった、今の俺に3年前の力は無い。かけがえのない絆ってもんを知ってしまった今の俺には彩陽と敦は弱点だ、万が一敵にこの情報が漏れた場合俺は冷静でいられるだろうか……いや、それ以前に今の俺にはたして人が殺せるのだろうか………」

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