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仔犬のすてっぷ

第17章 予期せぬ来客



「・・・大丈夫か?彼女」

 蒼空がミネラルウォーターの入ったペットボトルを僕に差し出しながら、奈緒ちゃんの様子を聞いてくる。


「大した量じゃないけど、結構強いお酒をがぶ飲みしちゃったからね。多分、今は頭の中がぐるぐる回って、血の気も引いちゃって、大変だろうけど・・・急性アルコール中毒までは行って無さそうだよ?」

 彼女の背中を優しく擦りながら、僕は蒼空を見て、差し出されたペットボトルを受け取る。


「………他のお客様は?奈緒ちゃんの友達は、皆どうしてる?」

「彼女等、結構心配してたからさ…
安心させる為に、一緒に付いてったロランが実は彼氏だって説明したら、まあ、超絶盛り上がっちゃって……」


きゃ〜っ♡♡素敵ぃ〜♡


 黄色い声が聞こえてくるところから、また、盛り上がっちゃってるんだな、と分かる。


「悪りぃ…また、余計な事、しちまったかな?」

「いや・・・言ってくれて、ありがとう。
おかげで奈緒ちゃんの友達は、安心してくれてるし・・・悪い選択じゃ、無かったと思うよ?」




「……優希・・・お前・・・・・・」


ふと、蒼空が僕の眼の奥を…じっと見ているような、そんな気がして・・・



「……?・・・蒼空?どうしたの?」

「…お前は彼女・・・・・・
あ、いや、・・・なんでも、無い。
その子の様子も見れたし、俺は向こうに戻るわ」

 一瞬…俯いて何かを言いかけた蒼空だったけど、すぐにいつもの笑顔に戻った彼は、にかっ☆と白い歯を見せるとその場を離れようとした。




「・・・待って!君。
そちらの眼つきの悪かった君…それに、□ランの優くん……」

とりあえず気持ち悪いのは治まったのか…奈緒ちゃんが蒼空の方をじっ…と見つめる。


「・・・まずは、お礼を言わせて?
二人共…ありがとう。
おかげで随分楽になりました。
だけど・・・・・・この状況…変だよね?
どうして優くんが、ココで働いているの?
そして、貴方は・・・優くんと随分親しいみたいだけど………何者なんですか?」



僕と蒼空は、お互いに顔を見合わせてから、奈緒ちゃんの方を見た。




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