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仔犬のすてっぷ

第17章 予期せぬ来客





「………そんな事があったんだ…」


僕と蒼空を交互に見ながら、奈緒ちゃんは眼を輝かせている。


「・・・なんか、想像してたのとリアクションが違わないか?(汗)」
「・・・うん(汗)僕はてっきり、怒ったりするもんだと…覚悟してた」


「つまり、行き倒れていた蒼空君を助けた優くんが、彼を守るために悪戦苦闘する、ヒューマン・ドラマが展開している訳ね♪」


「「・・・なんかびみょ〜に違う・・・」」


奈緒ちゃん独自の解釈に、僕等二人は声を揃えて感想を述べた。

掻い摘んで話したからか、彼女が天然だからか…
なんか妙な伝わり方をしているようで・・・


「そんな、ドラマみたいなもんじゃないさ。だけど、優希には世話になってるのは事実だ」
「僕は結果的に、周りに助けられたし、蒼空にも助けられてて……相手の出方が分からないから、安全なこのお店に匿われてるってところなんだ。ドラマみたいなカッコ良さは無いよ」

「…でも、普通の生活からはかけ離れて・・・
優くんの優しさから始まったお話が、今、こんな展開になっているんでしょ?
もし、蒼空くんを助けた時、警察や病院へ彼を担ぎ込んでいたら・・・きっと今みたいな話にはならなかった訳だし。
それに・・・優くん、なんだか前よりいきいきしてて……輝いてる」


・・・そ、そうなの?
輝いてるって・・・・・・
それって、僕はこの状況を楽しんでいる……
そういう事なんだろうか?


「私、上手く言えないんだけど…簡単に言えば、以前より優くんが、とても魅力的に見えるの。
ソレは・・・多分、蒼空君と、お友達になったから……じゃないかなって」


あ・・・お……お・と・も・だ・ち・・・?

 隣の蒼空が、腕を組んでしたり顔でニヤリと笑う。ふてぶてしいが、頼もしく見えなくもない…変な感じだ。



「…そりゃあ、男の友情を知らなかった以前と、知った今の差かもしれないな、なあ、優希君?」



・・・・・・男の友情…ねえ?(苦笑)




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