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仔犬のすてっぷ

第22章 Played Fight a Waltz Steps


「……ヒヒッ…こりゃあ、また随分と生きの良さそうな獲物が来たなぁ♪ヒーッヒッヒッヒィ!」

「にっ…兄ちゃん……こっ…こいつら全員、のっ…ノしちゃって……いっ…いいんかあ?」


「ゲームとかで言えば、中ボスってトコか……」

 淳が乾いた唇をペロッと舐めてからファイティングポーズを取る。
他のメンバーも、今までとは違う雰囲気を目の前の敵から感じ取り、それぞれのファイティングポーズを取った。


「全員タダのガキじゃねぇか…ケケッ!」

まだ戦うには距離のある場所にいる…だいたい5、6メートルは離れた位置の小男が、その場で体をクルリと回転させた。

きらっ…

その腕の軌道で複数、何かが光った。

ーー しゅっん!

カッ…カカンッ!

 蒼空の頬を何かがかすめた。同時にカリームのシールドとアキラのガントレットに、小さな細長いナイフが突き刺さる。

つ…

かすめた蒼空の頬が小さく切れていた。


「……なんだ……動きは今ひとつだな…ヒヒッ♪あんまボサッとしてっと、ダーツが喉や頭に刺さっちまうぜ?ヒヒヒヒヒッ!」


「……早い。小さいから見にくい。結構やっかいだな、ありゃあ・・・」

蒼空がそう呟くと、カリームは相手を見据えたまま、彼に声をかける。


「……蒼空とアキラはそのまま先へ行って、二人の救出を優先してください。ここは僕と潤が相手をします!」


「いや、だってよ……コイツラ、強い……」
「こんな奴らを雇う連中ですよ?二人がどんな目に合ってるか心配なんです!急いでッ!!」

軽くシールドで蒼空の尻を叩き、カリームはニッコリと笑った。


「僕達は、強い。大丈夫ですから……」

「俺達をナメんなよ?あんな奴ら、すぐに倒して追いついて…お前の分も倒しちまうぜ?」

潤も左の親指をびっ!と立ててニカッと白い歯を見せた。


「・・・分かった。死ぬなよ?」
「潤っ!〈爆裂〉だけは、使うなよ?」
「分かってるって、ほれ、早う行けや!」

蒼空とアキラは、そのまま一気に凸凹コンビの横をすり抜けて、建物の中へ向かう。


「ヒヒッ!逃がすかよぉ〜!」


ダーツを投げようとする小男の前へ一気に間合いを詰めたカリームが盾を振りかぶる。


「・・・貴方の相手はこの僕です!」



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