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仔犬のすてっぷ

第24章 仔犬達のワルツ2 潤 VS 屈強な大男


「しょ、勝負、あっただかな?」
『ひょよおぐぅあっぶわぁあがにょわあん……』


地面に叩きつけられた潤には、清の言葉はこんな感じにきこえていた。

(やっ…やべえ・・・頭にダメージが来ちまった……)

 両腕に力を入れてなんとか起き上がろうとするが、うまく力が入らない。
きーん…ぷ〜〜ん……ぶぅーーん……
耳鳴りが頭の中で木霊するように右と左へ行ったり来たりして、三半規管にダメージがある事が潤には分かっていた。


「…だば、そ、そろそろ男前の顔、こっ…こわしちゃおうかなあ?」

 ムンズと潤の髪を掴み、髪を掴んだのとは反対の手で潤の顔をガッシリと掴んだ清は、そのまま握りつぶすように力を入れた。


グググ…ゴリゴリ…ジリジリ…グギギギ…ミシリ

「ぐ・・・ぐわあああいあぁ〜〜…!」

まるで万力で左右上下から締め付けられるような激しい痛みに、潤はたまらず悲鳴を上げる。


「い、いいもんだなあ……色男の悲鳴は…ぞ、ぞくぞくするんだなあ…♬」

「おお・・・てっ、テメェ、離しやがれ・・・」
「ま、まだ、話す余裕が、あ、あるんだあ?じ、じゃあ…も、もう少し」

ゴリュリュ…みしみしみしみしぃっ・・・
さらに締付けが強まり、頭のアチコチが軋む音が潤の頭の中に響いた。


「…ぅ…うギャアアアアァ〜〜!!」

「うんうん。い、いい声だあ。楽しいなあ」


(しっ…仕方ねえ。このままじゃ本当に頭、握り潰されかねねえし・・・やるしか、ねえ…)


「・・・おっ…ぐううっ!…お、俺のぉ…拳が…光って唸るぅ・・・」

バチッ!と潤の左手の篭手に電気の光が発生した。

「…オマエを倒せとぉ……くっ…輝き叫ぶッ!」

潤の左の篭手から大量の電気の筋が発生し、バチバチバチッと激しくスパークし始める。


「…お?な、なんだ、だな?」

「コレでも喰らいやがれッ!」

左手で大男の左手首をがしっ!と掴んだ刹那、潤は必殺技の名を叫んだ。

 
「ひいっさあぁつッ!ラアアァイトニングッ・フイィンガアアァーーッ!!」


ーー バリバリバリバリバリッ!

潤の篭手から1万5千ボルトの電気が放出された。


「うぎゃああああああ〜〜〜!!」
「ん、のおおおおおぉ〜〜〜っ?!」



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