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仔犬のすてっぷ

第24章 仔犬達のワルツ2 潤 VS 屈強な大男


 電気攻撃を喰らう清はもちろんだが、掴まれている手に電撃を喰らわせた潤本人にも、1万5千ボルトの電流は容赦なく流れ込んでくる。
 しかも、清は両拳にチェーンをまいているから尚更だった。

……しかし、それでも潤は躊躇しない。


「すっ・・・スパアアアァーークゥ・エエェーンドッ!!」


ーー ズッパアアアァン!!!

 辺りが一瞬明るくなるほどの電気を一気に放出し、左の篭手から強制的にバッテリーパックが放出され、地面に転がった。

その後を追うように、潤も開放され、地面に転がり落ちた。
少し遅れて、清の巨体もバタァン!と倒れ込む。




「・・・・・・・・・かはっ! あ゛〜〜…しんど〜…・・・」


 流石に実戦で受けたのは今回が初めてだが、訓練で何度か自身も電撃を受ける事を経験している潤は、辛うじて意識を保つ事が出来ていた。


「一応……殺さないギリギリの電流と電圧値だからなぁ……とはいえ、コレはキツイ……」

「あ゛〜〜……び、ビックリしたんだな・・・」

 頭をふるふるっと振りながら、倒れていた清がむっくりと半身を起こしながらつぶやいた。


「なっ?!何イィ!!」

文字通り必殺技のコレをマトモに受けて、再び起き上がった奴は今までに一人しかいない。

(まさか・・・このデカブツもアイツみたいに耐電体質……とかじゃねえ…よな?)


アイツ、とは蒼空の事である。

 蒼空は彼自身の話によれば、先祖由来の耐電体質で、爺さんはカミナリに2回打たれても死ななかった、とか、親父さんが電気工事中に誤って感電してもケロッとしていたらしい、とか言っていたが・・・
実際訓練でコレを受けても倒れず立っていたのは彼だけだった。


…話しが逸れたので元に戻そう。

 本来、彼のライジング・フィンガーは心臓以外の人体の急所に手を当てて放つが、今回は腕を掴んで放ったため、相手を気絶させるだけのダメージには至らなかったのだ。


(・・・2発目は、警戒されちまうが…しゃあない、か……)


 急いで腰のポーチからバッテリーパックを取り出し、篭手にセットした潤はヨロヨロと立ち上がってファイティングポーズを取り直した。


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