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仔犬のすてっぷ

第26章 仔犬達のワルツ4 森川 VS 霧夜



「お前、テレビでバラエティ番組なんかは見るか?」

「…ま、まあ…見る方、かもしれない……」

「なら、催眠術なんかはあるのは知ってるだろ?」

 蒼空は何の話が始まるのか分からないまま頷いた。それを見たトーマスは、よし。と頷き話を続ける。


「……まあ、テレビショーのは本当に効いているのか怪しいものもあるが、催眠術師も催眠療法マインドコントロールも実在する、ちゃんとした科学的根拠に基いたものだ。
 アメリカじゃあサイコセラピーって言って、鬱病やスポーツ選手のイップスなんかの治療にも使用されている。
 幻術も同様に悪用例は沢山あって、芸能人、有名人を自殺させる暗殺とかはだいたいそれだ。
詐欺、窃盗に使用された例だってある。
 条件が揃えばシロウトでも使うことが出来て、面白半分でイジメて相手を追い詰めているうちに条件が揃ってしまい、それとは知らずに相手に掛けて自殺させてしまう事だってある。
 SNSも怖いぞ?……知らずに見ているうちにマインドコントロールされていて、条件を満たしたとたん自殺させられる・・・って事件は世界的に起きてるからな?」


「へ、へぇ〜…そ、そうなんだ……」

 トーマスの長い説明文に、蒼空も読者も作者も思わず閉口してしまう(苦笑)


「……けどよ?モリリンはいつ幻術にかかっちまったんだ?霧夜が何かした様子は無かったみたいだけどよぉ?」


「〈眼〉だ。催眠術も幻術も、基本的に相手の眼を見て掛ける事が多い。
あとは・・・さっきの霧夜の変なセリフの中に、幻術を掛ける為のキーワードが含まれていたならば……」


「……ヤバそうじゃんか!幻術に掛かってるんなら、解かないと!!
おーいっ!モリリーーンっ!!」


 蒼空は大声で森川に呼びかけるが、森川は気付いていないのか…
誰も居ない空間目掛けて大技をくりだしている。


「きっ……聞こえてねえのか?それなら……」

 蒼空はテーブルの上にあるリンゴを引っ掴むと、森川に向けて大きく振りかぶってから力一杯のパワーで投げつけた。


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