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「・・・・・ぐっ……」


　トーマスの強さは圧倒的だった。

　確かに、二人での同時攻撃はトーマスを捉え、蒼空のミドルキックは彼の腹部に、僕の外門頂肘は彼の左肘を捉え、それを受けて苦悶するところへ追い討ちの蒼空の回し蹴りが彼の胸に入り、一度は膝を着き、崩れた。

だけど……



「………面白え・・・」




その一言から、僕等の旗色は悪くなり始め・・・


「……はあーっッ！」

　右から挑頂馬歩捶（簡単に説明すれば、中段突き）を放った僕の拳を紙一重で避けたトーマスは、同時に僕の左肩に触れるように
　«とんっ»　
…と　“軽く”　右掌底を当てた。


ーー　ずどわあんっ！


　途端に左肩が、ボーリング球を叩き付けられたかのような衝撃を受け、出した技の性質上…右側に全体重が乗っている所為で、その掌底打を受けた僕の身体は右足を軸にしてぎゅわああぁんっ！！と独楽のように高速回転し、僕の視界は横線だけになって。

ーー　ぼこばこぐしょっ！

僕は段ボールの山にめり込むように突っ込んでしまった。


「この…やろおっ！お？！おわああぁ〜？！」

　見ていないから確かでは無いんだけど、掌底打を打って動きが止まったところへ蒼空がトーマスの首筋を狙いハイキックを叩き込んだ……
その足を受け流しつつ、少しだけ体を捻り、身体の位置を低くしながら右肩で蹴り足を跳ね上げる。
蹴りの勢いをそのまま投技に利用された蒼空は、背負投げを足からかけられたのと同じようになり……
縦回転で回りながら投げ飛ばされて、空を飛んでいるに違いない。


ーー　ドン！ゴロゴロっ…ばこ〜んっ！


蒼空は地面に落ちて激しく転がって、僕と反対側になる段ボールの山に突っ込んだようだ。


　マーシャルアーツに、加えて骨法の掌底打と合気道の当て身投げが加わり・・・
トーマスには、僕等の打撃が一切通用しなくなってしまった………。


・・・僕から見れば、アンタこそチートすぎでしょうが！