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仔犬のすてっぷ

第28章 仔犬達の・・・ 


『・・・しょう!』


・・・何かが、聞こえる

『・・・ちきしょう!ちきしょうッ!』


・・・コレは、蒼空?
蒼空の声が………聞こえている……の?



『・・・このままじゃ…勝てねえ…だが、打つ手が無えっ!
さっきまで見えていたアレは…優希の愛のチカラじゃ、無かったのかよっ?!』

(・・・・・いや、だから。
そんな摩訶不思議な力は、無いんだってば!)

『そんなはずは無え!アレは、お前の声が届く前に頭に浮かんだんだ!』

(……それは今まで君が戦いで得た経験が導いたビジョンか何かだよ。君の力だ)

『・・・なに?あれ?優希……なのか?』

(・・・・・え?あれ??蒼空?僕が考えている事が……伝わってるの?コレ……)

恐る恐る目を…薄眼で開けると……
僕は確かに喉元を掴まれていて

蒼空は足首を締め上げられていて


止まっているように見えた。


・・・あ、れ??

なんだ?これ??


『!なんじゃ、こりゃあ?!』
(…なんじゃ、こりゃあ?!)

二人の驚きが頭の中で木霊する。



・・・状況が、よく、解んない。
だから現状が、よく、判んない。
なので事態が、よく、分んない。


(・・・何コレ?もしかして、僕等死んだとか?)
『……いや、今だって…足首、めっちゃ痛えぜ?死んでねえみたいなんだが……』

いや…僕だって首痛いし苦しいし。
……じゃあ、コレは、なんなんだろう??

 薄青白い靄のような中、体が漂っているような感じで……
近くに蒼空がいるような、いないような…曖昧な感覚がここにある。


『アニメなんかだと、こういう感覚の時は……時が視えるとか言ったりなんかするんだが……見えそうか?』
(……んなもの、見えたりなんかしたらどっちか、又は両方が死ぬ目に合うフラグが立っちゃうだろ!?大丈夫、そんな感覚は無いよ……そんな事より・・・)

さっきからチラホラと断片的に僕をくすぐったくさせるモノが見え始めていて・・・



・・・コレは……
蒼空と初めて会った時の、僕の……笑顔?

合鍵を沢山作ってきたから怒った時の僕の顔…


僕のエプロン姿に・・・悲しそうな顔……



わあ?!

コレは……蒼空に愛撫されて………恥ずかしがりながら感じちゃってる時の顔じゃん!!






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