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仔犬のすてっぷ

第30章 共振


(・・・でっ……でもさ…さっきは白い靄がゆっくり掛かって来て…それから繋がったのに、今はいきなり真っ白……白い中にいるね)

『……そう言えば、そうだな……
ってか、俺は長い話苦手なんだよね……優希の身体の熱いのも治めてやりてぇし、さっさとトンズラするかあ?』

「……悪いけどもう少ぉ〜し付き合ってもらうわよ?ちゃあんとあなた達がゆっくり出来るようにホテルも予約してあるから♡」



(え?!)
『な?!』

この状態で第三者の……相田博士の、声が…聞こえる?



「よっ☆若人達よ。がっつりキス、たのしんでるかいっ?!」


(『…なっ?!なにいいいぃぃ〜っ!?!?』)


 靄の中から満面の笑みで、手を上げて挨拶をする相田博士がす〜っ…と現れた。

(な、な、な……?!)
『なんでアンタがここに・・・?!』

「私は研究者。しかもPASTELの所長だよ?
どんだけラビちゃん達に触れ合って来たと思ってんだい?
君達の能力はだいたい把握出来てるって初めにいったでしょ〜?♪
キスして共振して会話出来るラビちゃんが二人。その身体のどこかに触れていれば、第三者も参加出来ちゃうってわけよ☆」

(ら…ラビちゃん……(汗))

「で、この共振が…さらなる力を生み出す元になってるわけ。
映画やドラマで愛する二人のキスの後、奇跡が起きてるのはあながち間違っていないって事なの」

(……どんな事ができるんですか?)

「それこそ、強く願う、願望、欲望、相手を思いやる想い…に、呼応した事が実現、具現化されるわ。
事故から助けたい願い、事故を起こしてやりたい欲望・・・ってね。そしてお互いが同じ事を願って共振を重ねると、とんでも無い奇跡が起きるのよ……」


『例え話、地球がなくなる…とか?』


蒼空が恐ろしい事をさらりと考えた。


「無くはないけど……それは現実的じゃないなあ…
愛し合う二人が、強くお互いを想いながら地球崩壊を願うシチュエーションって、どんなんよ?」

『あはは…そりゃないか…』
「ファンタジー世界の魔族が…って話でなら無くはないけど、どちらにしてもそれには対価になるモノが必要よ」

(………たいか…?)



「……ずばり、それを願う者たちの、【命】
・・・かしらね?」



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