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仔犬のすてっぷ

第30章 共振


(い……いの、ち……??)

「なんにでも、それを成し遂げるには、それなりのエネルギーが必要になるわけよ。
 魔法だって、依代が無ければ力が発現しなかったり、力の逆流に耐えられなかったり、暴走したりするでしょ?

 ラビットの奇跡も、願うモノが大きく、重くなるほど愛の力が必要になる・・・
 お互いの想いが重なりやすくなるほど〈効果〉が強くなり、お互いがお互いを想うほど〈力〉が強まり、身体を重ねて愛を深めるほど〈エネルギー〉が溜る “愛の奇跡” は、その対価は比較的低めだけど………

 例えば映画タイタニックの乗組員、乗客全員を助けたいと願った場合……主人公達はたった一度の逢瀬で溜めたパワーのみで奇跡を願ったなら
……効果と力は釣り合ったとしても、エネルギーは足りない計算になり……
最低でも主人公カップルは無惨な最後を迎える事になるわ。

……海に沈むより酷い……リンチを受けたり強姦されたりしたあげく、手や足を生きたまま削がれ、苦しみを沢山味わった挙げ句発狂して自殺する最後を遂げる事になる……」


『…知ってるぞ?その映画はそんな内容じゃ無いだろ?』

「そうよ。だから例えに使ったわ。
詰まるところ、大きく重い力を願えば、そのくらい《因果律》を歪めてしまうってこと。

そして、エネルギーが増えるほど、因果律からの逆流は少なくなる……」

『…じゃあ、全員助かるハッピーエンドにしようと思ったら、どんだけセックスすりゃあいいんだ?』

……たしかに、それは僕も気になるなぁ…
あの映画、僕は大好きで何度見て泣いたか……。

 だけどそのあと、ボクは聞かなきゃ良かったと思う答えが相田博士からもたらされる。


「人一人が一回分…約2千人乗ってたとして、船を沈めないための奇跡と、二人が結婚できるハッピーエンドにする気なら・・・
毎日せっせと2回……しても5年分のエネルギーが必要かしらね?」


(…そんなにしてたら身体が保たないよ(汗))


「……不安定、不確定だけど、上手く使えば素晴らしい力なのよ。
だけど、因果律を変えるほどの力……ラビットの力は、言わば少し先の未来を変えてしまう……危険な力でもあるの・・・」


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