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身代わりの妹が懐妊発覚して、そのまま皇帝の妻になりました

第4章 お嫁入り、ですか?

 事情をすべて琴葉が話してくれた。
「お前は何を考えているのだ! 私だけでなく、李家の皆さんに大変な恥をかかせたのだぞ! 琴音を利用するなどあってはならん事だ! あのまま断っていればよかったものの、変な気を回すから琴音にも迷惑かけたのだぞ!」
「お父様、本当に私の身勝手さが招いた事です。なんとお詫びをすればいいのでしょう……。琴音にも散々迷惑かけましたし、秀進様にも迷惑かけてしまって、いくら頭を下げても簡単に許してくれるとは思いません」
 およよとよろけて泣くふりを始める琴葉。 
 これは、二人で考えた芝居なのだ。
「姉さんの気持ちを知りながら、一目惚れした私が代わりを務めたいとわがままを通したのがいけなかったのです」
 見えないところで、姉の琴葉に腕を爪を立てられて痛さのあまりに涙を流したところ、親も李家の使いの者もあたふたとする。

「実に言いにくいのですが……、妹君が懐妊なさったそうです。その事を伝えるために今回は参りました」
「なんと! 娘が妊娠? ほ、本当ですか?」
「あなた、落ち着いてください。私どもの聞き間違えでなければ、妊娠したと仰ったのですね?」
 母親はさすがに動揺していない(動揺しても気丈に振る舞っているとも言う)。
「はい。まだ早期段階ですが、今度の診察ではっきりとわかるかと思われますが、その可能性は高いとの医師の見解です。本当であれば、是非とも、我が宮殿に嫁入りに来いとの事です。後日、また参りますので、その時までに返事を考えておいてください。では、失礼します」
 李家の使いの者は腰を曲げて挨拶をすると、周家をあとにした。

「一度の過ちで妊娠するなんて想定外です」
「いや、でかした! 琴葉のした事は許してはおらぬが、琴音の妊娠は、両家にとっても良い事なのだ。琴音の事も、完全に許してはおらぬが……。ものはかんがえようという言葉がある」
 こんなに相手の言葉で態度が変わる人といると、家族といっても疲れるのだが、ここはグッと我慢だ。
 下手に父の事を刺激すれば、本当に勘当される可能性は否定できない。

 後日、再び、李家の使いの者が来たのだが、秀進も今回は一緒だったので、それなりのおもてなしをしないといけない。

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