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身代わりの妹が懐妊発覚して、そのまま皇帝の妻になりました

第4章 お嫁入り、ですか?

「急な訪問にかかわらず、嫌な顔をせずに対応してくれる事に感謝する。訪問の目的だが、私にも非があったのでお嬢様を傷つけてしまった事を詫びたい。本当に、私の浅はかな行動により、想定外の事が起きてしまってさぞ混乱なさっている事でしょう。実に身勝手なお願いだとは思いますが、琴音さんを私の妃に頂きたく思い足を運んで来た次第です」
 秀進の思いもよらない発言に、両親と姉の琴葉も琴音自身も驚きを隠せない。
「話の整理をしてもいいでしょうか? 我々は、少々混乱しておりまして……。本当は長女の琴葉を嫁に欲しかったんですよね? ここまで合ってますか?」
「そうですね。私が惚れたのは琴葉さんの方です。しかし、そちらの策略でまんまと騙されたのですが、私も、頭に血が上ってあるまじき行為をしてしまい、琴音さんと、親御さん、それから、お姉様の琴葉さんにも迷惑をかけてしまったのです。責任を取るという形で……」
「要するに、身代わりがばれた次女は、愛のない行為をされた結果、妊娠してしまったから、仕方ないので、嫁にしたいという事ですね?」
 語尾を強めて琴音の父は聞いた。
「あ、いえ、けして仕方ないとかではなく、せっかくの授かり物を大切に育て上げる強い意志を持って挨拶に伺いました」
 そう言って、怒りをあらわにしはじめた琴音の父にたいし、秀進はひざまずく。
 額が床についても気にしている様子はなく、許しを得るまでその体制を崩す事はなかった。
「大切に育て上げるという貴殿の言葉を信じて、是非に娘を後宮妃にして大切にしてくださいませ!」
 今度は、琴音の父が土下座をして頭を打ち付ける結果になった。
「二人とも、表をあげなさい。みっともない。申し遅れました。私、秀進の母であり元皇帝の上皇后・凛華にございます。以後、お見知りおきを。愚息がしでかした事、誠に遺憾に思う。我々の監督不行き届きだったのでしょう。ですが、世継ぎを身篭った可能性が高いお嬢様を預からせていただきたい」
 凛とした立ち振る舞いは、とても美しいお姿だと周家の者はみな、そう思った。
「ありがたき幸せ! どうかよろしくお願いいたします」
 再び、琴音の父は方膝ついて腰を折って深々と頭を下げる。
 こうして、丸くおさまったのだ。

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