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蜜と獄 〜甘く壊して〜

第6章 【あなたに壊されたい】






「此処、マジックミラーなんで気をつけてください」とだけ忠告しておく。
卑怯な真似をされても毅然とした態度で挑まなければならない相手だ。




神楽坂雪江、血の繋がらない義理の母親。
父の遺産で豪遊しながら今更私に何の用なの?
とりあえずお店の事はバレた。
向こうの言い分も大抵予想はつく。




罵る?神楽坂から追い出すだろうね。
それが目的だろう。
父の生前に書いた遺言書は私が神楽坂の人間である事を認める内容だった。
如何なる理由があろうとも離縁してはならない…と。




その辺は弁護士を入れていくらでも突っぱねれるだろうけど此処を知られたのは厄介だな。
大人しくしてると思えば何の思いつき?
また貶めたくなった?
昔から邪魔で仕方なかったもんね、私の事。




「次もこうして、接客して頂けるんでしょうか?それとも…もうその頃には居ないのでしょうか」




試されてる……そう感じました。




「予約、取れると良いですね……最低でも1ヶ月待ち、だとか」




「ええ、存じ上げております。流石No.1ですね、10分も保たなかった……素晴らしかったです」




「ありがとうございます」




「それに、その仮面……半面とは言えどわからないものですね」と少しトーンを抑えて言ってくる。
ニッコリ微笑んで互いに耳元で囁いてイチャイチャしてるフリ。




「内密にお願いしますね」




「勿論です、但しこちらの言い分も多少飲んで頂かないと」




「会うつもりはありません、弁護士を通してなら考えます…とだけお伝え下さい」




「わかりました」





約20分の射精コースは終わり、彼は帰っていった。
何度も手を洗った。
初めて気持ち悪いと思った。
あの人の手引きだったなんて。
関わりたくない。




頭を抱えた瞬間、ボーイさんが入って来た。




「あの、大丈夫っすか?今の客と何かありました?」




「え?ううん、大丈夫だよ」




「何か手帳…みたいなの出してましたけど」




「ああ、可愛いね〜とか読んでて恥ずかしくなるような事ばっか書いてたわ、アハハ」




「そうっすか、一応ブラック載せときましょうか?」




「いや……そこまでは、うん、経過観察ってとこで良いんじゃないかな?何かされた訳じゃないし」







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