蜜と獄 〜甘く壊して〜
第7章 【決断の時】
ドヤ顔もキマり互いに吹き出す。
そう、カインはこの顔面偏差値で会社の社長という肩書き。
どれだけハイスペックなのって。
案の定モテてるけど特定の彼女は作ってないらしい。
「早く僕に惚れてね?すぐ迎えに行くから」
なんて、まだ諦めのない姿勢が返って私の闘志に火を付けてるの。
アグレッシブなところを見習って私ももっと貪欲に生きてみようって思えた。
色んな会社から依頼を受ける形にもなった。
書道教室とも兼ね合いを見て受けれるなら受ける体制を取っていた。
スポンサーであるカインの会社にも手伝ってもらう始末。
「サエ、会社を興してみたらどうかしら?今のあなただったら出来る気がするわ」
エレンの一言にハッたした。
この私が……会社を?
まだ早いって思ってた。
一から出直すつもりで運良く此処に辿り着いて、何もかもまっさらな気持ちで取り組んで来たけど。
確かに手応えは感じてる。
私の書く日本語が徐々に世間に受け入れられてきて日本食を出しているお店の看板や暖簾などにも字を提供してきた。
「ノウハウなら僕が一から教えるよ?」とカインも賛成してくれている。
自分の運命が動き出しているのをひしひしと感じていた。
そんな折に舞い込んできた一件の依頼。
国が主催する大規模イベント、国際会議展示場にて行われるビジネス関連の表彰式にて書道と絵画を融合したパフォーマンスを披露して欲しいという案件。
エレンもデュークもカインも目を見開いて驚いていた。
「凄いわよ!この依頼!本当に!?」
書類に何度も目を通して喜びを噛み締めている様子。
一足遅れてキョトンとしている私に説明してくれるけどどれだけ凄いのか全くピンとこない。
「各展示場だけでも10,000 ㎡はあるわ」
ますますわからなくなった。
とにかく凄く広い展示場なのね。
そこで私たちが共同でパフォーマンスするとなれば前に描いてた自分の夢が早くも実現するまたとないチャンスなのだろう。
「日本の企業も参加するみたいだからそれで依頼してきたのかもね?それにしてもかなりビックなイベントだよ、凄い大きな台紙に書く事になりそうだね」