蜜と獄 〜甘く壊して〜
第7章 【決断の時】
「それ本当?ハハ!幸せにし合おうぜ!やっぱ紗衣最高だわ!」
リングを嵌めて抱き締め合った。
周りで祝福の拍手が飛び交う中、夕焼けの照らす公園で唇が近付いてくる。
「あ、ちょっと待って下さい、私、めっちゃ墨が…っ」
「関係ねぇよ」
ちょっと…!まだ皆見てるのに…!
重なり合う唇に拍手喝采となった公園内。
「誰のものにもなってないだろうな?」
「は、はい……堤さんこそ」
「堤さん?違うだろ」
「い、一崇さん…こそ」
「あぁ、もう少し実感させてくれよ……紗衣の温もりも匂いも」
「ご、ごめんなさい……汗臭いですよね」
「良いよ、今からまた汗掻くんだから」
「え……?」
「覚悟しろよ?今日は俺の泊まってるホテルに直行な?」
「え?え?」
「あの車、紗衣のか?」
「あ、はい」
「よし、じゃ、お前運転しろ、ルート案内は俺がすっから」
「え?あ、いや、でも…」
さっさと決めちゃうところも全然変わってなくて寧ろキュンときた。
そして、本当に驚いたのは堤さんが流暢な英語でエレンに事情説明していた事。
「オーケー、それなら此処で解散ってとこね」
「悪いね、今日はどうしても彼女を借りたい」
「えっ?えっ?一崇さん、英語喋れるんですね」
「おい、この見た目で英語全然似合わねぇとか思ってんだろ?俺、こう見えて小3まではアメリカで過ごしたんだ」
「え、帰国子女ぉ…!?」
知らなかった。
何なの、その引き出し。
益々ギャップ萌え。
急に昨日まで居なかった人が今は助手席に乗っているなんてドキドキが収まらない。
「サエ、おめでとうね、明日はゆっくり休んで?素敵な夜を」
最後にそう言って見送ってくれる仲間たち。
一応紹介はしたけどカインだけが複雑そうに見ていた。
本当、ごめんね。
「彼が背中に龍がある人?」と耳打ちされてコクリと頷いた。
「勝ち目ないよ」と項垂れていたけど後の事はエレンたちに任せた。
「お前、あの金髪と何かあったろ?」
ホテルに着くやいなやベットに押し倒されそう言われた。