蜜と獄 〜甘く壊して〜
第1章 【業界未経験の需要】
「ねぇ、凄いよ?もうイキそうだね?」
頑張って耐えてても一瞬の隙きに出ちゃう時もある。
「あっ!ダメ!出ちゃう!あぁ〜!!」
シーツに飛び散った精液。
イってしまった自分が恥ずかしくて何度も鳴いて謝るの。
良い子に出来てたのか気にしてるんでしょ。
「よく頑張って耐えたね、エライエライ」
額にチュッて口付け。
安心した様子の笑顔。
「でも急に出しちゃったからキスは額です」
「あ………ハイ、次頑張ります」
「次もこのシステム生きてるの?」
本当可愛い。
お客様のほとんどは他のキャストも経験してる。
知らないうちに同じ店舗でもキャスト同士を天秤にかけてジャッジしてるお客様も少なくない。
でも彼は最初から私一本だ。
他のお店に行かれてるかも知れないけど初来店時からずっと私を指名してくれている。
若いのに太客だわ。
「僕、リリカさんに出逢えて本当嬉しいです」
そしていつもこんな言葉を残して帰って行く。
だからたまには引き止めてみようかな。
服の裾引いて振り返らせて扉の前に立たせる。
首に手を回してハグしてあげる。
もう退室時間だしオプションには含まれないのは重々承知。
「リリカさん…そんな事されたら帰りたくなくなります」
「そうだね、オーナーに怒られちゃうかな、私も」
「え、それは僕が嫌です、怒られないでください……また来ます」
「フフフ、わかった、またね」
名残惜しく別れておく。
ずっと見えなくなるまで手を振って。
「彼、お気に入りですか?」なんて周りに言われてしまう。
「リリカさん一筋ですもんね」って、そうね……他のキャストには渡したくないわね。
純情だから違う蜜を吸って欲しくないかも。
そう、キャストがお客様と恋愛なんてご法度。
そもそも恋愛の仕方さえ忘れるもの。
こういう仕事していたら、普段のエッチでペニスを見ても何も感じなくなるのだ。
慣れって怖い。
非日常が当たり前になっていて、普通が当たり前じゃなくなる。
そして、普通が何かさえわからなくなっていく。