蜜と獄 〜甘く壊して〜
第5章 【絶頂地獄の成れの果て】
「私と同じですね、私もあまりイケなくて」
「マジ?」
「はい、でも性欲ってなくならないじゃないですか、だから自分を磨いて相手をイかせる事で快楽を得てるんです」
「え、本番したくならないの?」
「そのギリギリなラインが結構楽しいんですよ」
「俺はしたいけど相手が疲れちゃうから……遅漏っての?」
そっと手を握る。
「相手の方はイケてます?絶頂はされてますか?」
「うん、まあ、失神させちゃった事はあるかな」
「でも自分はイケないんですね」
「うん、ちゃんとムラムラしてんだよ?あ、ちなみに俺、包茎とかじゃないから」
「それで色んな子試されたんですね、効果はありましたか?」
「どの子もイケなかった……」
最大の難関ね。
何かトラウマでもあるのかしら?
そこまで根掘り葉掘り聞くのも失礼だし、ここは当たって砕けろなのかな。
ギュッと手を握り背中を擦った。
「私が何人目になるかはわかりませんけど、満足出来なければ怒って帰ってください、代金も要りません」
「えっ?それは俺が店側から怒られるんじゃないの?No.1につかせといて払わないんじゃ…」
「私、そういう風俗嬢なので」
「へぇ、自信あるんだ?楽しみだな」
「自信なんてこれっぽっちもありませんよ、でもお客様からすればどんなキャストでも玄人には違いありませんから精一杯努めさせて頂きますね」
なんて、口では言ってるけど本当は何の策もない。
貫禄だけが先走りしてる感覚。
でも私のテクでイケなかったお客様は居ない。
その実績が止まってしまうのか、更新するのかは運次第だ。
ハシゴしてるくらいだからそれなりに経験している。
いや、大丈夫、いつも通りの私の接客をするのみだ。
「ソフトSMってどちらがSですか?」
「俺どっちでもいけるんだよね、リリカちゃんのしたいようにしてくれれば」
モロ、高みの見物って事ですね。
試されているのでしょう。
No.1のテクを。
「私もどちらでもいけますよ、本当に私が決めても良いんですか?新規のお客様ですのでご希望に添えたいのですが」