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分け合う体温

第1章 ハジメテ

二人で一緒に、洗濯物を家の中に放り込む。

「手伝わなくていい。早く買い物に行って来て。」

「いい、手伝う。」

理人は、頑固だ。

一度言いだしたら、意見を曲げない。


「仕方ないな。私が行くか。」

「だったら、俺も行く。」

「ええ?」

私が行くって言ったら、急に”行く”って言いだすし、一体何を考えているんだ?理人は。


「家事は、分担した方がいいって、お母さんがいつも言ってるでしょう?」

「二人でやった方が、早く片付くって、親父が言っていた。」

ものの見事に、両親の特性を受け継いだ私達。

仕方なく私は、リビングに座って、理人と一緒に洗濯物をたたみ始めた。

理人のTシャツ、理人の肌着。

一緒に住んでいる弟なのに、やけに男の匂いがして、新鮮だった。

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