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分け合う体温

第1章 ハジメテ

理人は、結構モテる。

仲のいい女子も、何人かいた。

彼女はいないと思うけれど、大人の経験はしていると思う。

まだ中学生だった理人が、高校生の女の先輩と、家の前でキスしているところを見た事があったからだ。


兄弟なのに。

同じ屋根の下で、一緒に暮らしているのに。

理人との距離は、離れているように思えた。


「ねえ、理人。今日の夕食、何がいい?」

「ロールキャベツ。」

「OK。但し、期待しないでよ。」

私は立ち上がると、お母さんから預かったお金を、ポケットの中に入れた。

「制服で買い物に行くつもり?」

理人に言われて、自分が制服だと言う事に気づく。

「本当だ。着替えてくる。」

ポケットに入れたお金をテーブルの上に置いて、私はカバンを持って、二階への階段を駆け上がった。

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