
タイトル未定
第1章 1章
車から降りて、見た海はテレビの画像で見るのとはスケールが全く違い、まるで他の国、大袈裟に言うと違う星に来ているかのようにスケールの広いものに感じた。
海にいる人達もテレビでしか観たことの無い姿で
皆が楽しそうに遊んでいる。
浜辺でボールを投げたり、寝転んだり、お父さんぐらいの人はパラソルの下で昼間なのにビールを飲んだりと普段ではあり得ない光景が繰り広げられていた。
潮の香りが一面にひろがり、足元には熱くてサラサラした砂がビーチサンダルと足の間を埋めるように入ってきたが、走ったその先には濡れた砂が纏わり付いた。
でも、そんなことは気にならなかった。
何故なら、目の前には海の向こうまで続く大きな波が手招きするようにうごめいては、水しぶきをあげ、またやって来ては新たな水しぶきをあげていた。
後ろから追いかけてきた、みどりちゃんとお母さん達に連れられて、海の家という所へ行き水着に着替えてはサンオイルを塗って、欠かさず浮き輪を着けて
海の中へ思いっきり走った。
容赦なく私とみどりちゃんを中へ引っ張り込むように波が激しく襲ってきた。
浮き輪が水中でプラプカと揺れては味わった事の無い感覚がスリルを感じながらも好奇心が勝つぐらいの楽しさがあったが、海水は何だかベタベタしたように感じた。
太陽の光が燦々と照し、海水の表面を熱くした。
そんなこともお構い無しに楽しんだ。
ここには時間を気にする事が無いくらい楽しんだ。
何分……何時間……とどのぐらい経過したのだろうか、遊んでいるうちに身体からチクチクとした痒みが走ったような気がした。
初めは気のせいかと思ったが、次第に痒みが痛みへと走り、私の表情がおかしく感じたのか、みどりちゃんの顔が笑顔から、次第へと不安気な表情へ変わっていった頃には全身が何だか熱っぽかった。
その直後の記憶は無いが、気が付いたら病院のベッドの上だった。
