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タイトル未定

第1章 1章


当日の朝、カーテンを開けると生命が羽ばたくように希望に満ちた、初夏の眩しく燦々とした光が
昨日窓際に掛けていた、てるてる坊主の影まで無くすかのように拡がり、暗かった部屋を一気に明るくした。

夢が現実になる!
もう夢では無いんだ!
幼い私は枕元に用意して、まとめて置いた荷物を片手に持ち、パジャマの上に膨らませておいた浮き輪を付けて踊りながら、母の居るキッチンへ向かった。

母は笑いながら朝食を出してくれた。ワクワクし過ぎて朝食どころでは無い気分だったが、食べないと行かない。と言われたので、胃に流すように食事を食べ、歯を磨き、身支度をし、友達のみどりちゃんに会い、母と一緒に車に乗せてもらい海へ行った。

車の窓を開けると夏のムワッとした空気と共に少し暑いけど、気持ちの良い風が前髪を揺らし、ビルが多かった通りが、次第に民家だけとなり、緑が多くなり、トンネルをぬけると海が見えてきた。

「わぁー!海だー!」

私は気が付いたら、もう既に言葉にしていた。

車の窓から見る海は進んでも、進んでも、水平線が一緒に進んでいるように感じるぐらい、壮大な景色で空の青と海の青の境目が太陽の光でわかるように空には雲1つ無かった。

みどりちゃんも初めての海なんだろうか、私と一緒に窓からじっと海を見ていた。

みどりちゃんとは保育園の頃から一緒で共にピンクレディー*が好きだった。
私がケイちゃんで、みどりちゃんはミーちゃん。
好きなアニメも一緒でビニール製のキャラクター柄の靴も色も柄も一緒なので、かかとに名前を書いていた。

みどりちゃんのお母さんと私の母はパート先が一緒で家も近所だった。


*ピンクレディー
1970年に大人気だった二人組のアイドル。
ケイちゃんはお姉さんぽくて、髪が長い。
ミイちゃんは背が高くて、ショートヘアでボーイイッシュだけど二人ともスタイル抜群で健康的だけど、セクシー。
歌も踊りもテンポが良く、上手くて、華やかでカリスマ性があり、寝る時間も無いくらい大人気。

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