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イラクサの棘

第1章 プロローグ

翔 side



なあ、オッさん
あんたのコレ俺に譲ってくれない?



 
よほど気に入ってるんだね。
初めて見た時から君はそれに惹かれてたね


呼ばれた気がしたんだ。
声がさ、聞こえたんだよね


そうなのかい
じゃあそれも君に譲ろう

マジでいいの?
珍しいじゃん、この部屋のお気に入りは
門外不出で別格だったのに


まあね、たしかに
この部屋のすべてのモノは私にとって
思い入れの深い大切な宝物ばかりだからね

だから  
そのかわり私の願いを聞き入れて貰いたいんだか?



オッさんの願い?  



そう、私の最後の我儘だと思ってくれてもいい
どうしても君に頼みたいんだよ。



最後ねぇ

まあ、別に良いけど
あ、生前贈与の手続きは早めにさせてもらうぜ。
一族のゴタゴタに巻き込まれるのはごめんだし。


それはそうだね
なにより自由を欲する君だからね。



んじゃあ、俺はなにをすればいいわけ?





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