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イラクサの棘

第14章 チカヅキタイ

潤side



とてもあたたかなぬくもり

誰?

そっと触れながら、とても優しく
撫でてくれてる手のぬくもり


あまい香り?


まだ夢の中?


「おっ、目が覚めたか?」

「…………ぅん……」


耳障りのよいあまくてハスキーな声に
重たい瞼がもう一度くっついてしまいそう。


「なにこれ?
…あまい香り?」

「リクエストしただろ?
ほら、ホットミルクジンジャー。」

起き抜けのベッドの上
手を添えてあたたかなマグカップを
渡してくれる。

「ヤケドすんなよ。」

「うん、いただきます
ん、美味しい…ちょうどいい温かさ。」

「なら、良かった。
歩けそう?ムリなら抱っこでも
おんぶでもしてやるぞ?」

揶揄ってくる翔さんの目がすごく優しくて
バカってつぶやいてそっぽ向く。
だって恥ずかしいだろ?
寝顔は見られてるし
腰抜かして、おんぶまでしてもらって



髪をクシャッと乱されながら
優しい手つきで撫でてくる。
飲み干したカップを受け取って
片付けてきてくれる間に出かける準備をした。

「お、ジャケットにしたんだな。
もう一枚羽織っとけよ?
夜は冷え込むぞ。」

「でも、車で出かけるんでしょ?
なら大丈夫だよ。首にも巻いていくし。」


翔さんの、心配症がまた発動したみたい。
母親みたいにあれ着ろよ、とか
過保護なんだけど
結局は俺の思うように落ち着いちゃうのに
なんだかんだ世話焼きなんだ。


「翔さんこそ、後ろ髪はねてるよ?」

「おわ!マジかよぉ
髪のセットって苦手なんだよな。」


「じゃあ俺がやったげるから、ここ座ってよ。」

いつも手櫛でぱぱっと整える
もしくは水で濡らして撫でつけるくらい

ホント鏡の前に立ってじっくり
セットしてる翔さんを見たことないな。



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