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イラクサの棘

第14章 チカヅキタイ




ドライヤーと櫛で整えてあげて
ワックスを使ってすこし遊び心を出して
両サイドを外はね気味にしてみる。

艶やかですなおなストレート黒髪
触れてみると思った以上に柔らかく
すごく指どおりが良くて
ぴょこんとはねてる部分を丁寧にブローしながら
翔さんの髪の触り心地をひそかに楽しむ。




「やっぱ人に髪触ってもらうって
気持ちいいな。」

「そうなの?」

「俺美容室とかだと、シャンプーされたり
してる間、めっちゃ眠くなるんだよな。」

「床屋さんじゃないんだ?
フフっ翔さんおじさんっぽいから、
てっきり床屋か、散髪屋だと思ってた。」

「おまえなぁ、
まあ、でもたまに行ったりするけど。」



かたちのよい頭部にはきれいな
つむじが見えてて
こんな風に見下ろすのは初めてだから
いつまでも触り続けたくなる。

「はい、セット完了。
仕上げはどう?」

「おまえ、すげえなぁ
こんな風にできんだ、なんか俺じゃねえ」



いつものさわやかな好青年って
イメージから、すこし髪型を変えるだけで
大人の色気が出てる雰囲気
嬉しいそうに見開くおおきな瞳のど真ん中
真っ直ぐ俺を捉えて映し出している。

「じゃあさ、あのね
今日のコーデネートも俺がしてもいい?」



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