イラクサの棘
第14章 チカヅキタイ
「さあ、そろそろ
デザート持って来ようかな
ほら翔、おまえ手伝ってくれよ。」
「うっす!」
「あ、だったら、俺もっ」
「ダーメだ。潤はここで俺の相手しろ!」
岡田先輩に遮られて
座り直したけど、かなりの量のワインを
飲んでて、上機嫌で微笑みながら
腕相撲でもするか?だって。
にやりと笑ってくるから
ぶんぶん首を振って拒否したのに
じゃあ指相撲だなって有無を言わさず
右手を掴んで親指を握りつぶしにこられた。
どうにかして逃れようと
必死に攻撃をかわしてると
翔さんが箱を抱えて飛んで来てくれた。
「なにやってんすか!
潤をいじめないでくださいよ!」
「ほんのお遊びだって
まあ、実のところかわいい潤を
触りたかっただけなんだけどな。」
「先輩のお遊びはレベルが違うんですよっ
潤大丈夫か?指、折れてないか?」
「アハハ、大丈夫だよ!
ちょっと痛かったけどね。」
カップ&ソーサは長野さんの自作の焼き物。
挽きたてのコーヒーの香りは
苦みが際立つ芳醇な香り。
「潤、その箱開けてみて。」
「俺が開けるの?」
「そうだよ。ほらはやくっ」
「うん、分かった。」
さっき翔さんが持ってきてくれた
ケーキの箱を開けてみると
そこには紫のかわいらしい小花が
たくさん散りばめられた
とても美しい淡い紫色したホールケーキ。
「これ……ライラックケーキ?」
「そ、約束したケーキだよ。」