イラクサの棘
第16章 アナタニチカヅキタイ
ほぼ同時の吐精
俺と潤、2人の腹の間に飛び散る白い飛沫。
残澤までとろりと吐き出させてやると
くたりと力を抜いて
全身を委ねるように俺にもたれかかってきた。
絶頂の余韻がこんなにも
心地良いのは久しぶりだ。
抱き抱えながら、横たえてやると
乱れた吐息のまま潤が俺の名前を呼ぶ。
「翔さんっやだ…離れちゃやだっ…翔さん…」
ぐずる駄々っ子をあやす様に
片手で浴衣を整えて、ティッシュで
手早く拭き取り
列車に揺られて眠りについた初日の夜よりも
しっかり腕枕をして抱きしめてやる。
酔いが回った初日も
酩酊する潤はいろいろな告白をしてたが
今夜は腕の中でぽつりぽつりとちいさな声で
言葉を紡ぎだす。
今までで付き合った相手は1人だけ
その相手に熱烈に恋をして
学生時代、
その恋愛に夢中になってた事実
彼によって導かれ開発された潤の肉体は
彼の思い通り、
彼好みに仕上げられていく
自慰は許されなかった事
まず彼をイカせないと
潤が達する事が許されなかった事
彼との同棲生活で
潤の性への目覚めと快楽への本質を
引き摺り出されていったそうだ。
愛欲と肉欲にまみれた2人暮らしは
無垢で無知だった潤を
求められれば何処ででも、
身体を許してしまうようになったらしい。