イラクサの棘
第16章 アナタニチカヅキタイ
「潤は、誰ともセックスしてない
時期が相当長いだろ?
そんな潤に、無理矢理身体繋げたり
なんてできるかよ!
しかも、ゴムだって準備してねえし
ローションだってなんにも用意してねえしな。」
「俺の為に?
そっか、準備って、あっ、ゴム…ローション
用意…そうだったね…」
男同士で愛し合う為の必需品
初めて智と愛し合った時は彼がすべて
準備しておいてくれてた。
同棲を始めてからは、ほとんど俺が携帯で
ポチッとまとめて購入してたもの。
「言っただろ?
俺は双方合意の元でなきゃ、その
先にはすすまない主義だって。」
「うん、だけど…」
「俺は、肉体だけじゃなく
潤の気持ちも、心も、身体も
松本潤の全てが欲しいんだよ。
刹那的な快楽や、行きずりの肉体だけの
触れ合いなんて興味は無いんだ。」
優しい口調だけど
真剣な眼差しで見つめてくれる翔さんだから
彼のたしかな信念が伝わってくる。
そんな言葉に安心感が出たのかあくびをすると
そろそろ眠りなって瞼を唇で塞ごうと
優しいキスの雨を降らしてくれる。
あのね、
明日の朝まで、ずっと…
一緒眠ってて…ほしい
このまま…2人で…
目覚めた時…
翔さんのこと触っても…怒らない?
おだやかな睡魔に
意識を手放しそうになりながら
翔さんと明日の朝の約束を取り付けれた。
「いいよ、潤の好きにしな。
おやすみ、潤。
俺の全ては潤のものだよ。」
「おやす…み…しょ…ぉ…さぁ…」
深くて心地よい睡眠
明け方に見たのは優しい夢
その中に智の姿は一度も出てこなかった。