イラクサの棘
第16章 アナタニチカヅキタイ
「ごめんなさい、翔さんを巻き込んで…」
「もっと俺に付け込めよ、俺はおまえが好き
潤のこと好きだってちゃんと伝えただろ?」
「うん…でも、俺…まだ…」
もう恋愛することも
誰かと触れ合えることも完全にあきらめてた。
翔さんへの想いが
この感情が恋なのか、愛なのかが正直
まだよくわからないんだ。
ずっとそばに居てくれてる人だから?
久しぶりの同年代だから?
それとも翔さんだから?
ただ、さっきは
とても優しい手つきとあまい言葉で
気持ちよくなるまで導いてもらえたのは事実。
今だってこんな風に抱きしめてくれてる
翔さんの優しいぬくもりが
素肌から心にまで伝わってくる。
「焦らなくていいよ。
この旅の間は、恋愛のリハビリだと思ってさ。
俺はちゃんと気持ちを伝えてるんだし
おまえへの下心は隠さない。
だから、潤はそれを利用すれば良いんだよ。」
「下心って…俺なんかに?」
「こら、自分を卑下すんなよ。
なんなら一晩中、愛を囁いたっていいぞ?
潤の魅力的な部分をぜんぶ教えてやろうか?」
翔さんの前髪がゆれて
くすぐったいくらい頬に触れてくる。
「だったら…なんで?
あの、最後までしたいって…思わないの?」
そんな顔で誘惑するんじゃねぞって
困ったように微笑んで
髪をくしゃくしゃに撫でてくれる。
でも、男なら
好きで下心まで持ってる相手とこうして
ベッドで抱き合っているなら
更なる欲望を満たしたいって思うんじゃないの?
そんか疑問が俺の表情に出てたようで
見透かすように訳を話してくれた。