イラクサの棘
第17章 暁ニナニヲオモウ
翔side
しずかな寝息
夜明け前に腕の痺れで目が覚めた。
そっと頭を上げる
ベッドから抜け出して、
リュックの奥から煙草を取り出したが考えを
巡らせて吸うのはやめておく。
まだあたりは薄暗い夜明け前
携帯を覗くと、
先輩2人からメッセージが届いている。
思わぬ進展だったが
この勝算は2人の協力のおかげもあるから
とりあえず既読だけ付けておく。
長野くんのジビエ料理なのか
岡田先輩の指ツボの刺激のおかげなのか
なんにせよ、昨夜の大胆な潤には
驚きと同時に、本人すら気づいていない
人を惹きつける麗しくて妖しい魅力が
あるんだと確信できた。
俺の腕の中で顔をうずめながら
潤が唯一付き合ったことのある男との
恋愛模様と耐えがたい性の告白。
真っ白だった潤を色づかせて
その男の手で、その男の色に染めあげられて
咽び泣く時の紅く上気する頬
淡く色づく素肌に汗がきらめくように光り輝き
キスをすると
離れがたいという程に濃厚に舌を絡ませてくる。
支配欲をかき立たせる
潤が無意識のうちに身につけてる仕草
抱きしめると吸い付くように密着してくる素肌
自制心をかるく超えさせて
庇護欲否、支配欲を引き起こす。
本来備わっていた
潤の未熟だった被虐性が初恋を成就させた故の
恋愛の呪縛により、相手の嗜虐性に輪をかけ
絶対的に逆らうことの
出来ない偏愛へと陥らせてしまった。