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イラクサの棘

第18章 出発




「うっし、少しスピードあげるから
潤は眠ってていいぞ。」

「じゃあそうさせてもらうね。
ごちそうさま、翔さん…」


「しっかりブランケット被ってろよ。」

「うん。」

「おっ、素直だな。
肩もたれかかってもいいぞ?」

「…うん…ありがとう、翔さん…」



2人きりの車内だから
このくらいしたっていいよね。
くっついてる頬から耳につたわる翔さんの体温。
あのね翔さん、
俺の熱があがる原因は
もしかしたら
あなたのせいかもしれないよ。



だって翔さんに触れてるとね
すごくすごく熱くなってくるんだ。


ねえ、なんで俺なの?
本当にこんな俺でもいいの?



たくさん訊ねたい事は有るんだけど
心地良い揺れと翔さんのぬくもりには
抗うことなんてできなくて
ゆっくりと瞼を閉じてしまう。



あのね、翔さん
俺、あなたのこともっと知りたいよ
臆病なくせに欲張りなんだ。


それに
俺のことも知ってもらいたいな
今のこの気持ちをどんなふうに
なんて伝えたらいいのかな

考えたいのに、眠気が邪魔をする
心地良いぬくもりと穏やかな車の振動


翔さん
俺、もっとあなたと…




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