イラクサの棘
第2章 プラン
「あ、翔さん、もうこのお皿下げてもらうよ。
デザート持ってきてもらわないと。」
「この皿に残ったソースがさぁ
抜群に美味くてさぁ、もったいねぇ。」
「フフ、彼女さんにでも作ってもらいなよ、
翔さんならよりどみどりのモテ男でしょ?」
「うーん、モテるにはモテるけど
告白されても長くは続かない。」
「うわぁ、モテる自覚はあるんだ。」
「潤だって、それなりにモテるだろ?」
「………どうだろうね……」
「俺は、元々男子校出身だからさ、女子への配慮とか
扱いがイマイチ得意じゃないんだよなぁ。
ふらっと海外とか行ったりするとキレられて
そのまま疎遠になるし。
だから友達関係くらいがちょうどいいかな。
知り合いとか、友人なら国内、海外に大勢居るよ。」
「すごいね、国内外にいるんだ。
俺は、元々人付き合いが苦手だから。
友達なんて、ほとんどいない
それに、大人数でいると疲れたりして
露骨に顔に出たりするし。」
「へえ、潤は正直なんだな。
案外潤には、海外暮らしのほうが向いてるかもな。
余計な散策とかしないし、他人事には
あんまり介入したりもしないし。」
「海外かぁ、憧れるけど英語は苦手。」
「フフ、我流で良ければ何時でも
英会話のレッスンしてやるよ?
もちろん、潤なら特別に個人レッスンでな。」
潤は特別
特別なんだよ
潤、お前は俺の特別だから
デザートと一緒に運ばれてきた
コーヒーカップを持ち上げて、
ミルクをたっぷりとそそぐ。
時々浮かんでくる智の残像を壊すように
ぐるぐると何度も何度もかき回した。